豊かさって何だろうか
この空しか映さない窓を見ながら食事をして
「ああ、なんて美しいんだろう」
と感動できることが
自分が昔よりも豊かになれた
何よりの証なのだな、と思う。
「豊か」というのは、モノをたくさん持つことではない。
友達が大勢いることではない。
お金を人に自慢できるほど稼ぐことでも、使うことでもない。
真に「豊か」ということは
「今、この瞬間」に
感謝できること。
感動できること。
美しいと思えること。
満たされること。
それが「豊かである」ということではなかろうか。
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確かに戦後、日本は奇跡的な復興を遂げたかもしれない。
今ではインターネットが発達して、大抵のものは簡単に手に入るようになった。
けれどもその代償として、我々は豊かさを失ってはいないか?
人との繋がりが薄れ
家族すらも信用できず
自分の存在を軽く見るから
人を尊重することができない。
空の色に感動したのは、どれくらい前のことだろう。
最近、周囲の花をきれいだと思ったことがあっただろうか。
春の息吹、夏の熱風、秋の木枯らし、冬の凍った空気。
風を感じて、四季の移ろいを楽しんだ記憶は、果たしてあるだろうか。
確かに日本はモノがあふれ、生活レベルだって上がった。
アジアなのにヨーロッパの列強と並んだ力、度重なる危機を乗り越えてきた力は、幾度となく世界を震撼させ、感動させてきた。
その代償に、我々は何を支払ったのか。
いや、何を「支払わされて」きたのか。
その答えのひとつが、「真の豊かさ」を考えた時に顕れてくるように思う。